偉大なるアメリカのMTB事情 その4
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作成日時 : 2008/07/29 12:24
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朝は、鳥の鳴き声やノッキングの音で目を覚ました。隣のテントで寝ていた地元のサイクリストは、早くから湖に釣りに行った様子だ。「どう、釣れた?」と聞いたら、「ボクはさぁ、結果よりも湖と静かに向きあっている時間を大切にしているんだ…」だって。釣果は、ご想像の通りだろう。
朝7時を過ぎると、男たちがぼちぼちとテントから出てくる。焚火を囲む昨晩のパーティー会場へ行くと、ガイドがコーヒーをいれて待っていた。ガイド会社のロゴが入った保温マグが用意されていて、そこに油性ペンで名前を書いて、イベント終了まで自己管理で使う。紙コップを無駄にしない、いいアイデアだ。フルーツやフレンチトーストなどをのんびり食べて、10時ごろからトレイルに向けて出発した。
↑滞在中の食事はすべてガイドが作ってくれた。
ダッチオーヴンで焼いたベーコンがうまいのなんの。
↑ガイドにもらったマグカップ。
キャンプ中は、これをマイカップとして繰り返し使う。
もちろん日本に持って帰ってきた。
安易にペットボトルや紙コップに頼らないのがうれしい。
この日のトレイルは、ロックレイクと呼ばれ、シェカメゴン国立公園内にある(どうもカメゴンが多い土地らしい)。案内図によれば、バイク・トレイルのほかに、歩行者用のトレイルもある。この日は、ミネソタからほかのサルサ・スタッフも大勢かけつけ、総勢40名ほどのグループになった。速く走りたいグループ、ショートコースをまったり走るグループに組み分け。迷わず後者を選んだ。この日の試乗車は、サルサ/ビッグママ。29インチホイールのダブルサスペンション仕様。ちょっとこぐだけでグイグイ進み、速度も心地よくアップする。それに、ペダリングが恐ろしく軽やか。乗った瞬間に走りの良さを痛感できるナイス・バイクだ。
↑直径が大きな29インチ仕様だが、
しっかり足つき性も考えた設計。
リアサスに加え、リアのチェーンステーもしなり、
乗り心地をマイルドにしている。
これが、普通のアルミではできない、スカンジウムの特徴なんだとか。
トレイルは、森の中を走る。ほどよく人の手が入り明るい。針葉樹独特の爽やかな緑の香りも心地いい。昨日のトレイルと比べて、上りも下りも短く緩い。いいテンポで小さなカーブが繰り返される。途中、樹木がヒザほどの高さしかない開けた場所や、木で組み立てたラダーのような幅30cmほどの人工セクションも現われる。休憩地点には、美しい湖もあり視覚的にも満足度が高い。もちろん、道はずっと幅60cmほどのシングルトラック。地面は、ひどく荒れた部分はないが、ときおり倒木が行く手をふさぐ。小さな丸太は、そのまま前輪を軽くアップしてクリアしてしまう。こんなときこそ29インチのアドバンテージを感じる瞬間だ。「アッ、失敗したかも」と思っても、スルッと何事もなかったように丸太をクリアしてしまうのだから。サスペンションについては、快適すぎて笑っちゃうほど。タテノリのビートにあわせて体が自然に動く感じ。それも、ガンガンとではなく、ボヨンボヨンと。MTBに乗りながらスキップをして森を進むような感覚だ。計算されたレース用のマシンとも、昔ながらの柔らかいだけのサスペンションとも違う。なにより、少々コントロールミスをしても、バイクが立て直してくれたりする。良く進み、良く転がり、ほどよく弾む。MTBの原点である自然との融合。そんな大きな世界を表現しているように感じた。さすがはビッグママ。おおらかで、知的なユルさを備えたMTB。
↑サルサのGMジェイソンもご機嫌!
↑けっこうスリリングなラダーセクション。
走る人を常にワクワクさせる、よくできたトレイルだ。
翌日は、朝からテントを撤収し、帰り道に短いトレイルを走った。ここでは初日に納得できなかったエルカボーイングに再び試乗。今度は、しっかりサスペンションに空気を充填。やはり、初日のインプレッションとは大きく異なり、楽しさが伝わった。ビョンビョンとサスペンションが地面の変化を刺激に変え、増幅してほしくない不快な振動だけをそっと抑制する。思いのままにコントロールしながらも、よく弾むサスペンション感はしっかりと味わえる。もちろん、足や腕への負担が少ないので、40歳を超えた体にもやさしく、衰えたテクニックまでカバーしてくれる。こちらは26インチのため、スピードのノリやペダリングの軽さは抑え気味。その反面、小さなターンでも小気味良く対応できるキレがある。26か29かは、自分がおもに走るトレイルの状況に合わせて選べばいいだろう。いずれにせよ、40万円(現地予価4000ドル)を越す高級車。レースで勝つためではなく、休日を笑顔で過ごすためのマシン。この価格を払ってでも乗りたい、と思わせる環境がきちんと整っていたことが、なによりもうらやましかった。
(次回へ続く)
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