さらば給水塔
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作成日時 : 2008/09/12 20:28
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取材先から帰る途中、住宅街の路地裏で美味しそうなパン屋さんを発見。できたてのパンを買って、いつものように鼻歌を歌いながら走っていた。数年前に廃校になり、今は物づくりのための施設に生まれ変わった、我が母校(中学校)を横目に進むと、懐かしい風景が一変していた。小学生の頃、同級生がたくさん住んでいた団地が解体されていたのだ。もう数年前から立ち退きもはじまっていたので、それ自体に驚くことはなかった。しかし、さらに進むと、真っ青な空の下、忘れかけていた懐かしい風景が鮮烈に目に飛び込んできた。あ、あの給水塔だ。
それは、昭和の団地のなかなら、どこにでもあるようなただのコンクリートの塔にすぎない。周囲の団地が壊され、空き地にポツンと残された給水塔。それは、ほかならぬボクが小学生の頃に、仲間と遊んだ思い出の場所。かくれんぼ、鬼ごっこ、だるまさんがころんだ、そして、ビニールボール野球もそう。自転車で隣町に行くときの待ち合わせだってこの塔の下だった。この塔は、ボクらの町のランドマークだった。これより高い建物は、銭湯の煙突だけ。マンションなんて、そうはなかった時代だから。
フラッシュバック。何十年も記憶の奥底に封印されていた出来事が、数瞬、脳裏を駆け巡った。何かをしなくては…。そう脳が命令を出す。自転車のブレーキをかけてその塔が一番良く見える場所へ歩いた。そして、たまたま持っていたカメラで最後の1枚を記録した。
ありがとう、給水塔君。あの頃、小学生だったボクは、こんなに大きくなったよ。もう一緒に遊べないけど、君に座ってアンズ飴を食べたことだって忘れてないから。思い出は、胸の中にしまっておくから。さようなら。
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